酸化させて藍色に発色させる天然藍染め
革を蓼藍染で染めるとジャパンブルーの機能素材が出来た
藍ってどんな植物?
「青く発色する染料のとれる植物」のことで、蓼藍(タデ科)・インド藍(マメ科)・リュウキュウ藍(キツネノゴマ科)・ウォード(アブラナ科)があります。
青く着色するという意味の「インディカン」が語源とされるインディゴ染は技法が全く異なり、混同されている方が多いと思いますが、これは天然愛とは別物です。天然藍の原料不足や管理、工程の複雑さを見直し安定した発色が大量生産できる不純物の少ない合成染料を使用したものがインディゴ染め製法です。
日本古来の藍染とは?
ジャパンブルーともいわれる日本の藍染め。
日本では「蓼藍」を使って染料を作ります。現在は、徳島県の農家で栽培しているのですが、生産量が限られているのでとても希少となっています。
蓼はもともと薬として使われていた植物で、解熱、解毒、効果がありその成分を身にまとうことにより体を保護したとも言われています。防虫、防蛇、防火、殺菌、抗菌、UVカット効果もあるといわれています。昔の作業着や火消しの半纏に多く使用されていたことも頷けますね。
藍染料の元「すくも」ってどうやって作るの?
藍の染料は、絞り出したり、煮出したりして作るものではありません。蓼の葉の裏に微生物が付いていて発酵させることのよって酵素が発生し水溶性の染料の元が出来上がります。
これが「すくも」と呼ばれるもので100日以上の期間を要します。3日ごとに水を加えながら攪拌し、発酵が進むと温度が上がってくるのでそれを調節します。まさに、職人技です。
蓼の葉から「すくも」を作る職人を「藍師」と言います。
お邪魔した東京の染工房さんでは「新居製藍所」製のすくもを使用しています。
蓼の葉から作った「すくも」をカメに入れ、フスマ、石灰、灰汁、酒、湯を投入し攪拌して寝かせ発酵を促進させます。季節によって仕上がりの日数は変わりますが、アルカリを好む乳酸菌を元気にさせるためにひたすら待ちます。
成分は、天然成分のみを使いこの手法を「天然藍灰汁発酵建て」といいます。
発酵が進んで菌が元気になってくると、液表面に泡状の固まりが浮いてきます。そうなったら、染の準備が出来たサインです。
現在の多くの藍染は、発酵が早く行われるようハイドロサルファイトというアルカリ性の化学薬品を使用する事が多くありますが、糸井染工房さんでは化学薬品は使わず木材を燃やして出来た灰から強アルカリ液を作り使用しています。
革を染めてみる
用意した短冊状のカットを2分間液に浸してもらいました。
液自体は青というより茶褐色をしています。引き上げると直ぐに酸化が始まり青色に発色していきます。
水洗いをすると綺麗な浅葱色(あさぎいろ)になりました。
この作業を、10回から15回行い深い藍色になるように染重ねていきます。
乾燥して脂分を加えもみほぐすと写真のような風合いに仕上がります。青のコントラストがとても綺麗です。
革表面に特殊な糊で絵付けをして染重ねる「ろうけつ技法」や、シルクスクリーンの版を使って糊引きをして柄をつける「型染め技法」、立体の物体を挟んで染める「板締め技法」など伝統技法を使って革に染めることもできました。
藍染の液は強アルカリなので、染液の元気が良すぎると革表面を侵してしまうことがあるのでPHの管理は大切です。
レザーに染めていただいたのは糸井染工房さん
色々、教えていただき藍染の魅力と奥深さ、そしてご苦労を知ることが出来ました。今回染めた素材は、牛革のノンクロムレザーです。今後も、いろいろな素材を持ち込んで新しい風合いの藍染レザーが開発できたらと思っています。
By silvergecko
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