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コードバンとは
コードバンは、馬の臀部にある特殊で緻密な繊維層を磨き出した素材です。銀面ではなく繊維の中に有る層なので、裏面から削ってみないとどのくらいの大きさで分布しているのかわかりません。1頭の馬革から30㌥~40㌥(60センチ四方くらい)を2枚程度が平均かと思います。
牛のボックスカーフが1枚170㌥~200㌥なのでこれに比べると本当にわずかしか取れませんね。
これゆえに、「革のダイヤモンド」などといわれるくらい希少なレザーと呼ばれているのです。
グレージング作業とは
先ほど触れましたが、コードバンとして仕上げられるのは銀面ではなく繊維面(裏の起毛面)です。時間をかけて鞣された繊維面に、加脂などを施し乾燥と熟成を繰り返しながらコードバンとしての風合いが作り出されていくのです。
コードバンの艶と平滑性は、グレージングという作業によって現れます。グレージングは、ガラスの玉で圧力をかけながら磨く作業で職人技が要求されます。
コードバンではないですが、グレージング作業の動画が こちら
コードバンの仕上げ
コードバンの仕上げ方法は、大きく下記の2種類あります。
1.顔料仕上げ
表面に塗料をコーティングするイメージで、ランドセルや財布、小物に使用されます。 キズが目立ちにくく、個体差も小さいので安定した製品仕上がりになります。
2.ナチュラル仕上げ
染料やオイルを浸み込ませてレザーらしい風合いやしなやかさ、透明感のある光沢感が特徴です。 個体差があり、部位による浸透率の違いで自然なアンチック感があります。キズが付きやすく水滴にも注意が必要です。
メンズシューズ、高級財布、小物などに使われます。
水滴が浸み込んで繊維を膨らませます。乾燥しても跡が残ります。(お手入れで目立たなくすることが出来ます)
HOEWEEN社について
シェルコードバンを作っている工場「HORWEEN社」について紹介します。 1905年創業 USA シカゴにあるタンナー(革工場)です。
日本で有名な素材は、「クロムエクセル」という商品で、動物脂、魚油、植物油、蜜蝋を独自配合したオイルを十分に浸透させて仕上げた100年間変わらぬ製法を貫いてきた高級素材です。 そして、アメリカならではのスポーツに関連した素材も多く取り扱っています。
USAバスケットリーグ NBA 公式ボール
USAフットボールリーグ NFL公式ボール
USAメジャーリーグ ボール及びグローブ
グローブの素材でバックがあったらかっこいいですね!
そして、今回主役の「シェルコードバン」
仕上げはナチュラルでオイル仕上げです。平滑性と光沢、しなやかさを兼ね備えた風合い豊かな素材です。この素材を使っているのが、入手困難な「ALDEN コードバンシリーズ」です。
5年前に#8バーガンディVチップを購入し、天気を気にしながら愛用してきました。木型はモデファイラストで足との密着性が高く土踏まずがホールドされているような独特でとてもしなやかな履き心地です。コードバンの馴染み方が優れているのだと思います。
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5年経ったものの方がしなやかさが増しているにもかかわらず平滑性は衰えず嫌な折れ皺などは付いていません。それどころか透明感と奥行き感が圧倒的に増しています。タンニンベースに染料仕上げなので手入れを怠れば、乾燥によるザラツキや色抜けが起こりやすい素材ですが、きちんと手入れをすれば新品時以上の風合いが出てきます。
お手入れによって風合いが増すのはレザー素材全てに言えるので、コードバンに限ったことではありませんでした。でも、とてもデリケートながら期待に応えた表情を見せてくれる「シェルコードバン」はとても魅力的な素材ということは解っていただけたのではないでしょうか!
今回は、コロニル「1909バーガンディ」で潤いと色の加色を施しました。
By silvergecko
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