革傷は生きていた証

革って良いね

・革 傷の話

自分が持っているレザー製品をよーく見てください。正面の目立つ所には入っていないと思いますが、裏面やパーツの部分、隠れた部分に傷が入っていることがあります。牛革や馬革には必ずと言っていい程、生きていた時についた傷と血管の痕があります。

こんな感じです。製品にするときは、なるべくこれらが入らないように裁断するので、私たちの目に触れることは、滅多にありません。ほとんどの場合その部位は破棄されてしまいます。

「食肉の副産物である革を生活に取り入れているのに、破棄されている部分もあったんだー( ゚Д゚)」そのことを知ったとき、そう思ってしまいました。

・焼き印

キズとは違いますが、アメリカから輸入した革には「焼き印」(ブランドとも言われています)が入っています。

これは、牛の持ち主が、預けてある牧場の中で自分の牛だと識別するために、焼きごてで印を付けた跡です。火傷ですからずーっと残ります。中には2つ以上付いていて、牧場を渡り歩いた歴史を感じるものもあるそうです。形状もアルファベット、数字、ロゴ的な図形など様々あり、同じ付方の物は2つとありません。

・染めて見ないとわからない傷と血管跡

レザーの工場(タンナー)さんの話では、鞣した時点で革を選別します。スムース仕上げ用、型押し用、内装用、附属用など用途によって傷の入り具合や穴の有無で判断します。

染めてみると、わずかな傷の凹凸によって染料が溜り色が濃く見えることが多々あるそうです。染める前には見えない傷たちの出現です。何年も生きてきたのですから、血管跡やちょっとくらいの治り傷や虫刺され痕、出来物の痕はあって当たり前ですね。

季節によって、傷や虫刺され痕が多かったり少なかったりします。夏の革は、牛が活発なのでキズや虫刺されは多めです。冬は毛が太くなるため毛根も大きくなり、革になっても針で突いたような穴が残る場所があります。(人と一緒で個体差があります)これを差し毛といいます。

僕、個人としては、革製品にもっと生きた証の部位を入れてほしいと思っています。正面とは言いません。バックであれば横の部分や、裏側、靴であればつま先以外であれば気にならないと思います。その部位が捨てられてしまう事を考えれば、傷の部位をもっと積極的に使っている製品があればなぁと思っています。

生きた証のキズの部位。それを生かした製品があれば愛着を持って使いたいと思います。

By Silvergecko

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