革の面積表記は面白い
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革の取引は面積で行います
革の生産工程は、液体に浸して干しての繰り返し。最後に貼り乾燥、仕上げにアイロンをかけたりします。洗濯物みたいですね。
面積で取引するため、なるべく平らにして計測します。波打っていると面積が減ってしまうので、工場の収益にも影響してきます。
この計測器は、全日本皮革計量協会という第三者機関で定期的に検査しているため、工場や計量所によって「面積が違う!」などの誤差は最小限にとどめられているそうです。
ピンホール式と光電管式
写真のような計量機(坪取り機)で計るのですが、ピンホール式と光電管式の2種類があります。
ピンホール式:針上の突起物のセンサーに接触した面積を計測する方法
光電管式(現在の主流):光センサーで遮られた部分の面積を計算し測定する方法
単位
日本
日本では、革取引の面積の単位に「デシ平方メートル(ds㎡)」通称「デシ」を使用しています。 1ds=10cm✖10cm(10センチ四方)です。
1枚1枚計量機によって測定された面積を、革の裏面に記します。この数字で取引を行います。 例えば、牛革250㌥ 1㌥の単価が70円の革だとしたら
250㌥✖70円=17,500円/枚(税別) となります。
個体差はありますが、動物によって平均的な大きさがあるので、それを知っておくと、自分が作るものには何枚くらいの革が必要か算出できますね。*最後に動物によっての大まかな面積の目安を載せますので参考にしてください。
イタリア・フランス
イタリアやフランスでの取引単位は「平方メートル(平方メートル)」通称「メーター」を使います1㎡=100cm✖100cmです。
さすが、メートル法発祥のヨーロッパ(イギリスを除く)なので1mを大切にしているのですね。
日本での取引はdsなので、5.3㎡と表記があれば
2.5m✖100=250㌥となります。
アメリカ、イギリス、中国、インド、etc
USA、イギリス、インド、中国では、「平方フィート(sq.ft)」通称「スクエアフィート」を使用。 1sq.ft=30.48cm✖30.48cmです。
世界基準をメートルにしよう!となったのですが、自国に広まらず、現在でもヤード、ポンド、フィートを使用しています。
日本での取引単位dsへの換算は、30.48×30.48/100=9.29を掛け合わせて行います。26.9の表記があれば
26.9sq.ft✖9.29≒250となり250㌥で取引します。
刻印
それぞれの刻印を見ていきましょう。
・日本シール表記
267㌥
シール表記は、日本のタンナーさんに多く見られる表記方法で、1枚機械に通すとシールがプリントアウトされ、それを、お尻の背中又は、お腹側に貼り付けます。
青の認証番号が計量所の番号で、黒の数字が面積であるデシ数です。
123㌥
これも、日本の工場さんですが、機械で計測した数字を手書きするところもあります。はがれたりするリスクは避けられます。
・㎡刻印表記
1.43㎡と記されています。認定番号制度は無く、自社のロゴを刻印している工場さんの例です。写真は「La・Bretagna社」のアリゾナという革の計量です。
・sq.ft表記
これは、インドの羊革(シープレザー)の刻印です。
5.5sq.ft 5の下のアンダーバーは、小数点以下を示します。
デシ換算すると、51㌥です。
動物別面積の比較(流通している一般的な品種)
牛革 200㌥~300㌥位(背から半分に切った大きさ) 豚革 110㌥~130㌥位(1頭分) 羊 50㌥~70㌥位(1頭分) 山羊 40㌥~60㌥位(1頭分) 馬 180㌥~300㌥(背から半分に切った大きさ)
*ほかにも、育った期間、品種、部位によってさまざまな大きさで流通していますが、○㌥という単位とそれに対する単価の関係は、全て同じです。
単位や表記は、それぞれの国の歴史や価値観で使われていて、世界基準といえども染みついた物価的な側面を持っていると思います。深堀すると面白いですね。
By silvergecko
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